令和7年度 国税庁の査察(マルサ)の概要
国税庁が公表した令和7年度の査察(悪質な脱税者を対象とした強制調査)の実施状況によると、件数自体はやや減少したものの、1件あたりの脱税額が非常に高額化しているのが大きな特徴です。
1. 査察の主な実績(数字で見るポイント)
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全体の処理件数: 127件(前年度150件)
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脱税総額: 111億3,700万円(前年度112億7,000万円)
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告発件数(刑事告発されたもの): 82件(前年度98件)
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告発案件の脱税総額: 83億9,000万円(前年度82億3,000万円)
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告発1件あたりの脱税額: 1億200万円(過去10年で最高)
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裁判の結果: 判決が出た80件すべてで有罪(実刑6人含む)
2. 国税庁が特に狙っている「重点3分野」
国税庁は、社会的な影響が大きい以下の分野に対して、重点的に調査・告発を行っています。
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消費税事案: 特に消費税の「不正還付(実際には還付されない税金を受け取る行為)」が厳しく見られており、23件の告発のうち12件がこれに該当します。
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無申告事案: そもそも申告を行っていない悪質なケース。
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国際事案: 海外取引や海外顧客をターゲットにした所得隠しなど。
3. 最近の悪質な脱税の具体例
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美容系インフルエンサー関連企業: 不正に加担する業者を利用し、実際には存在しない架空の業務委託費を計上することで、法人税や消費税を免れていた事例。
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SNS等の海外取引事業者: 主に海外の顧客へイラストを販売し、海外イベントでの売上の一部を意図的に申告から除外して所得税を免れていた事例。
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脱税指南グループ: 複数の納税者と共謀して税金を免れさせようとした首謀者に、懲役6年(実刑で最も重い判決)が言い渡されました。
査察強化に対する注意点と多角的な視点
国税庁による査察が厳格化し、特に「1件あたりの脱税額が過去最高」を記録している背景には、デジタル化に伴う取引の複雑化や、消費税・無申告・国際取引に対するマークの厳しさが強く影響しています。適正な納税意識を持つことがこれまで以上に重要である一方、納税者の立場からは以下のような現実的な課題や懸念の声も上がっています。
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制度やルールの複雑化によるリスク: 消費税のインボイス制度や電子取引、国際的なデジタル経済の進展など、税制や取引の仕組み自体が年々複雑になっています。悪質な脱税だけでなく、「ルールの理解不足や事務処理のミス」が意図せず大きなトラブルに発展するリスクを危惧する声もあります。
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「一罰百戒」のプレッシャーと萎縮効果: 見せしめ的な効果を狙う査察手法に対し、真面目に事業を行っている事業者やフリーランスの間で、必要以上の不安や萎縮が生じるという指摘もあります。過度に厳格な取り締まりが強調されることで、新しい挑戦や海外展開を行う事業者に対して不要なプレッシャーを与える側面も否定できません。
適正な課税の公平性を守ることは不可欠ですが、国側には厳罰化だけでなく、複雑化する税制についての分かりやすい周知や、納税者が正しく理解・申告しやすい環境づくりを求める声も根強く存在します。
