整理済額、過去 15 年で最高の 9,488 億円
電話催告等による事務処理の効率化図る
国税庁はこのほど令和6年度の租税滞納状況を公表した。それに
よると、新規発生滞納額は 9,925 億円と前年度から 1,928 億円
(24.1%)増加したが、新規発生額はピーク時の平成4年度(1兆
8,903 億円)の約5割程度となっている。
整理済額については、過去 15 年間で最高の 9,488 億円となり、
徴収決定済額のうち新規滞納発生額が占める割合を示す滞納発生
割合は 1.2%、最近の傾向として低水準で推移している。滞納整理
が進んだ要因としては、納税コールセンター等によって電話催告等
を実施したこと等により事務処理がより効果的・効率的に進んだた
めとしている。
また、国税庁では、通常の滞納整理の手法では処理が進まない事
案について詐害行為取消訴訟等を提起して滞納整理に取り組んで
いる。令和6年度では 147 件の原告訴訟を提起したほか、海外へ財
産移転されるなどの国際的な滞納事案に対しても、租税条約に基づ
く徴収共助の要請を行うなどで、国際徴収にも力を入れている。国
際的な滞納事案ついては、同年度に日本から徴収共助を要請した件
数は 15 件、徴収金額は約 4,700 万円だった。
財産を隠蔽等するなどで徴収を免れようとした悪質な事案(滞納
処分免脱罪に係る事案)については、6件、8人(法人含む)の告
発が行われている。起訴された6人のうち、執行猶予付懲役刑や罰
金刑で5人の刑が確定している。
今回明らかにされた事例では、国税当局から財産を差し押さえる
ことを予告された滞納法人の経営者が、その法人所有の自動車等12
台(時価 4,220 万円相当)を自身が実質経営者である関連法人に
300万円の不当に低額で売却したため代表者を滞納処分免脱罪で告
発したものや、国内に事業所等を有しない外国法人について日本国
内に差し押さえるべき財産がなかったため、国税当局が財産調査を
行い、その外国法人が有していた他国の銀行預金口座を差し押さえ
るため、他国の税務当局に対して徴収共助の要請を行い、徴収した
ものもあった。
