税理士法人吉井財務研究所

損害賠償金の受取に係る税務上の取扱い

損害賠償金の受取に係る税務上の取扱い
事業所得の収入金額となるケースに注意

交通事故などのために、被害者が治療費や慰謝料、損害賠償金な
どを受け取ったときは、所得税法上、これらの損害賠償金等は非課
税となる。
ただし、これらの損害賠償金のうちに、その被害者の各種所得の
金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額
が含まれている場合には、その補てんされた金額に相当する部分に
ついては、各種所得の収入金額とされる。
非課税となる賠償金等では、心身に加えられた損害について支払
を受ける慰謝料などがある。具体的には、事故による負傷について
受ける治療費や慰謝料、負傷して働けないことによる収益補償の損
害賠償金などが該当する。ただし、治療費として受け取った金額は、
医療費を補てんする金額であるため、医療費控除に含めることはで
きない。したがって、医療費控除を受ける場合には、支払った医療
費の金額から差し引くことになるが、医療費を補てんし、なお余り
があっても他の医療費から差し引く必要はない。
また、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害
について受ける損害賠償金などがある。具体的には、事故による車
両の破損について受ける損害賠償金などだ。
しかし、損害を受けた資産が事業用の資産の場合には、注意が必
要なケースがある。例えば、商品の配送中の事故で使いものになら
なくなった商品について損害賠償金などを受け取ったケースだ。こ
の場合、棚卸資産の損害に対する損害賠償金などは非課税になら
ず、事業所得の収入金額となる。
また、車両が店舗に飛び込んで損害を受けた場合で、その店舗の
補修期間中に仮店舗を賃借するときの賃借料の補償として損害賠
償金などを受け取るケースもある。この損害賠償金などは、必要経
費に算入される金額を補てんするためのものであり、事業所得の収
入金額となるため注意が必要だ。