非上場株式の評価見直し(改正の方向性)
国税庁は、従来の評価手法による企業規模間の不公平や過度な節税策への対処を目的に、非上場株式の評価体系を根本から刷新する方向性を示しました。早ければ翌年度の税制改正への反映が目指されています。
1. 主な改正ポイント
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「残余利益方式」の採用へ
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現行の「類似業種比準方式」は廃止の方向。
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企業の「簿価純資産」をベースに、将来生み出す「数年分の超過収益力(儲ける力)」を加味(マイナスの場合は控除)して評価する方式へ移行します。
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会社規模別の評価区分を廃止
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大会社・中会社・小会社という区分をなくし、幅広い企業に同一の共通ルールを適用します。
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「時価」から継続前提の「簿価」へ
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企業が今後も存続することを前提とし、従来の解散・清算を前提とした時価純資産ではなく、「簿価純資産」を基礎とします。
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純資産価額方式・配当還元方式の限定化
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純資産価額方式:原則的な評価方法から外し、休眠会社などの「特定の評価会社」向けの例外的な位置付けに変更。
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配当還元方式:本来の趣旨から外れた節税利用を防ぐため、適用要件を厳格化したうえで存置。
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租税回避・株価圧縮スキームへの徹底対策
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一時的な利益操作の排除: オペレーティングリースや急な役員報酬増額など、非経常的な損益を除外して収益力を測定。
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グループ間移転の封じ込め: 完全支配関係にある法人グループは、グループ全体を一体として評価。
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見直しのメリット・狙い
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公平性の確保: 会社の規模区分や評価方式の差を利用した不合理な税負担の格差が解消される。
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事業実態に即した評価: 解散・清算を前提とするのではなく、「事業を継続しながら利益を稼ぐ」という事業実態に即した価値算定になる。
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意図的な節税策の抑制: 決算操作やグループ内取引による意図的な株価引き下げを防ぎ、課税の適正化が進む。
反対意見・懸念点(実務・納税者側の視点)
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「稼ぐ力」の算定基準に対する客観性の欠如
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将来の超過収益力や割引率などを誰がどのように決定・算定するのか、税務上の客観的基準(恣意性を排除できる画一的な算式)を構築できるのか強い疑問が残る。
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好業績な中小企業における株価急騰リスク
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設備投資や資産が少なくても収益力が高い企業(IT、コンサルティング、専門サービス業など)は、評価額が従来の類似業種比準方式と比べて大幅に跳ね上がり、事業承継時の相続税・贈与税負担が著しく重くなるおそれがある。
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既存の承継計画の破綻と税負担予測の難しさ
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すでに長期計画で進めている株式承継(暦年贈与や持分移行など)の前提が崩れ、将来の税負担の予見可能性が低下する。
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中小企業の実務負担の増大
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非経常的な損益の洗い出しやグループ一体評価など、株価算定の手続き・申告実務が従来以上に複雑化し、コスト負担が増す。
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納税者への影響と今後の留意点 現行ルールを前提とした「決算直前の突発的な株価引き下げ対策」は通用しなくなる可能性が高くなります。収益力が高い企業ほど自社株評価への影響が大きくなるため、今後の税制改正大綱や具体的な通達改正の行方を注視し、早期に試算・見直しを行うことが重要です。
