年金制度の見直し法案が国会で成立
企業型DC、iDeCo の拠出限度額を拡充
年金制度の見直し法案が修正の上、通常国会で成立した。当初除
外されていた「基礎年金の底上げ」に耳目が集まっていたが、賃金
要件を廃止することでの「106 万円の壁」の撤廃、勤務先の規模要
件の段階的な撤廃なども含まれている。また、関連の税制改正は成
立しているが、この年金法案の成立を受けて会社員や自営業者など
の企業型確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)
の拠出限度額が引上げられるほか、iDeCo の加入可能年齢の引上げ
等の見直しがなされる。
企業型DCについては、拠出限度額が月額 5.5 万円から 6.2 万円
に引き上げられる。また、企業型DCのマッチング拠出について、
加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えることができないとする
要件が廃止される。
個人型確定拠出年金(iDeCo)について、自営業者等の第1号被
保険者の拠出限度額(iDeCo と国民年金基金で共通)を月額 7.5 万
円(現行は月額 6.8 万円)に引き上げる。第2号被保険者の拠出限
度額は企業型DCと同じく月額 6.2 万円に引き上げる(現行は月額
2.0 万円または 2.3 万円)。
また、iDeCo については一定の 60 歳以上 70 歳未満の人も新たに
制度の対象とすることとし、その拠出限度額を月額 6.2 万円とされ
た。具体的には、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であっ
た者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる者で
あって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給
していない者となる。
その他の投資関連の税制としては、令和6年から非課税枠が拡充
された NISA について上場投資信託の最低取引単位が引き上げられ
ている。成長投資枠とつみたて投資枠のうち、つみたて投資枠の対
象商品の上場投資信託の購入方式について、指定金額内で取得可能
な最大口数での買付方式も認められるほか、定額購入方式の最低取
引単位が1万円以下に引き上げられている。なお、NISA 関係は令
和7年4月1日から適用施行される。