税理士法人吉井財務研究所

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免税事業者が新たに課税事業者となる場合  繰り越された棚卸資産に係る消費税の取扱い
消費税

免税事業者が新たに課税事業者となる場合
繰り越された棚卸資産に係る消費税の取扱い

免税事業者が新たに課税事業者となる場合、前期から繰り越され
てきた「棚卸資産に含まれる消費税」の取扱いはどのようにしたら
よいだろうか。
この場合は、課税事業者となる日の前日において所有する棚卸資
産のうちに、納税義務が免除されていた期間に仕入れた棚卸資産が
ある場合は、その棚卸資産に係る消費税額を、課税事業者になった
課税期間の仕入れに係る消費税額の計算の基礎となる課税仕入れ
等の税額とみなして仕入税額控除の対象とする。
この対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、仕掛品、原材
料、貯蔵中の消耗品等で、現に所有しているものをいう。また、仕
入税額控除の対象とすることができる棚卸資産の消費税額の計算
は、その棚卸資産の取得費用の額に 110 分の 7.8(軽減税率の適用
対象となる棚卸資産については 108 分の 6.24)を掛けた金額とな
る。この率は、棚卸資産を仕入れた日が 2014 年4月1日(消費税
率8%へ引上げ)の前か後で異なる。
具体的には、新たに課税事業者となる場合に、2014 年4月1日前
に仕入れた棚卸資産を有している場合には、その棚卸資産の取得費
用の額に 105 分の4を掛けて棚卸資産に係る消費税額を計算する。
一方、新たに課税事業者となる場合に、2014 年4月1日以降 2019
年 10 月1日前に仕入れた棚卸資産を有している場合には、その棚
卸資産の取得価額に 108 分の 6.3 を掛けて棚卸資産に係る消費税
額を計算する。
この場合の棚卸資産の取得費用の額には、その棚卸資産の購入金
額のほかに、引取運賃や荷造費用、そのほかこれを購入するために
要した費用の額などが含まれる。
また、この適用を受けるためには、その対象となる棚卸資産の明
細を記載した書類をその作成した日の属する課税期間の末日の翌
日から2ヵ月を経過した日から7年間保存しなければならないこ
ととされている。