税理士法人吉井財務研究所

棚卸資産の取得価額に含めるべき費用は?
法人税

棚卸資産の取得価額に含めるべき費用は

誤りが多く見受けられる取得価額の算定

 

3月末で決算を迎える会社が多いと思われるが、棚卸資産の算定には十分注意する必要がある。所得計算の際に期末棚卸資産の計上誤りで、申告額が過少となり、税務調査において棚卸資産の計上漏れを指摘されるケースは多い。特に棚卸資産の取得価額の算定についての誤りが多く見受けられることから、取得価額に含めるべき費用、含めなくてもよい費用の区分が重要となってくる。

棚卸資産の取得価額には、その購入代価のほか、その資産の消費・販売のために直接要した費用である購入付随費用も含まれるのだが、取扱いの上では、事務処理の簡便化の観点から、その購入付随費用が棚卸資産の購入代価の概ね3%以内と少額である場合には、取得価額に含めず、経理処理することも認められている。ただし、少額の購入付随費用であれば、どんなものでも経理処理できるというものではない。

経理処理が認められている購入付随費用は、棚卸資産の取得後に生じた購入付随費用に限定されている。

法人税基本通達では、一定の要件の下、経理処理が認められる購入付随費用として、(1)買入事務、検収、整理、選別、手入れ等のために要した費用、(2)販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用、(3)特別の時期に販売するなどのため、長期にわたる保管に要した費用、が挙げられている。

ただし、購入した棚卸資産の場合、その取得価額には、購入代価のほか、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税など購入のために要した費用や消費・販売の用に供するために直接要した費用も含める必要がある。

これらの費用については3%の少額基準は適用されないのだ。特に、運送保険料や関税については、誤って保険料や租税公課として処理してしまう場合があるので注意が必要となる。