税理士法人吉井財務研究所

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「名義借り預金」とされないための贈与の注意点について(岡山の税理士事例)
相続税

(岡山の税理士事例)

贈与税の非課税金額110万円を利用し、子や孫に毎年贈与して相続対策を行う場合があります。何年もかけて贈与したのに「子や孫の名義を借りただけの預金で、贈与は成立していないので相続財産です。」とならないために再確認しておきましょう。

「贈与が認められなかった裁判事例」
贈与税がかからないよう、その非課税限度額枠内で預金を続けたが、その管理、運営及び払戻しについては、すべて自らの判断で行っていたものであり、一方、子はその名義が使用されたほかは預金の形成、管理、運営又は使用に関与することはなかった・・・。として贈与を認めませんでした。
(平成2年3月30日名古屋地裁判決)
「贈与が認められた裁判事例」
32億円を渡したときに父親は経理担当者に「出してやれ」と言っただけで贈与なのかどうかは明確ではなかった。
しかし、経理担当者も子ABCも贈与の趣旨と理解した。返還を求められたこともなく返還する能力もなかったのだから、立替金とはいえない・・・。として贈与を認めました。
(贈与税の申告の有無と、贈与の有無とは直ちに結びつくものではないともあります)
(平成17年3月30日静岡地裁)

上記2例の判決の分かれ目は、実際に贈与があったのかどうかということです。
贈与は、民法上「諾成契約」とされ、「あげます⇔もらいます」とお互いの意思確認があって初めて成立するものです。よって、あげるほうの一方通行では贈与が成立しません。

名義は子となっていても、親が通帳管理等を行っていれば、贈与が成立していないので親の財産となります。子や孫が知らない預金口座に、一方的に、お金を振り込んでも贈与とはならならず、名義借り預金となってしまうのです。

「名義借り預金」とされないための注意点
(1) 贈与についてお互いの意思確認(あげます⇔もらいます)をはっきりさせる。
贈与は口頭でも成立するが、贈与契約書を作成する。
(2) 通帳、印鑑、残高の管理は受贈者が行う。(贈与者が中途で引出しをしたりしない)
(3) 贈与税の申告をする(あえて非課税を超える120万とかの贈与をし、税務申告をすることで、贈与を確定させることをお勧めします)

(岡山の税理士事例)