(岡山の税理士事例)
1.「減価償却開始の時期」
減価償却資産は、資産を取得し、事業の用に供した日(一般的には使用収益開始日)に行うことができる。
時間の流れとすると、まず取得して、その後事業の用に供するが、汎用品ではなく請負契約によって減価償却資産を取得する場合には、注意しなければならない。
2.請負契約によって減価償却資産を取得する場合
?注文した機械の請負契約の場合には、既に事業の用に供していても、取得していないケースもあります。
?参考判例(名古屋高裁 平成4.10.29判決)
完成された物を引き渡すことを内容とする請負契約によって減価償却資産を取得する場合においては、原則として、注文者が請負人から完成した当該資産の引渡しを受けることによって、「取得」があった と解される。
それは、民法上、完成した目的物の引渡しによって、目的物の所有権が注文者に移転し、かつ、請負人の報酬請求権が発生する(民法633条)こととされている為、一般に、完成された目的物の引渡しによって注文者がこれを取得し、かつ、報酬支払義務が発生するからである。
また、実務上、目的物の引渡しによって収入に計上するという取扱いがされているので、その反面、注文者においても完成した目的物の引渡しを受けることによってこれを取得したとみられるのが合理的である。
さらに機械装置等の整備及び調整が必要という場合において、当該装置を注文者が減価償却資産として取得したというためには、請負人において当該装置の試運転及び調整作業を完了し、当該機械装置等が所期の性能を有することが確認され、これに基づいて目的物の引渡しが行われることが必要であり、単に、目的の機械装置等が注文者の工場に設置され、注文者がこれを事実上占有するに至っただけでは、請負人の仕事は完成しておらず、注文者において完成した目的物の引渡しを受けたものということはできない。
3.注意事項
特別償却の適用は、事業の用に供した日の属する事業年度に限り、償却費として損金経理した場合に適用が認められることになっています。すなわち、税務調査において、前々事業年度以前の事業年度で適用時期の誤りを指摘された場合には、損金経理するタイミングを失い、特別償却の適用を受けることは2度とできないことになります。
(岡山の税理士事例)