税理士法人吉井財務研究所

家内労働者の必要経費55万円控除の特例

家内労働者の必要経費55万円控除の特例

実際の経費が55万円未満も55万円控除

 

事業所得又は雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっている。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円まで(2019年分以前は65万円)認められる特例がある。家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいう。

家内労働者等の所得が事業所得又は雑所得のどちらかの場合の控除額は、実際にかかった経費が55万円未満のときであっても、所得金額の計算上必要経費が55万円まで認められる。また、両方の所得がある場合、実際にかかった経費の合計額が55万円未満のときも同様に必要経費が合計で55万円まで認められる。この場合には、55万円と実際にかかった経費の合計額との差額を、まず雑所得の実際にかかった経費に加えることになる。

家内労働者などによる所得のほか、給与の収入金額がある場合は、(1)給与の収入金額が55万円以上あるときは、この特例は受けられない。(2)給与の収入金額が55万円未満のときは、55万円からその給与に係る給与所得控除額を差し引いた残額と、事業所得や雑所得の実際にかかった経費とを比べて高いほうがその事業所得や雑所得の必要経費になる。このため、給与の収入金額が55万円以上ある場合には、この特例の適用はない。

2019年分までは、基礎控除額が38万円となり、家内労働者等の必要経費の特例における必要経費に算入する金額の最低保障額が65万円であることから、その年の総収入金額が103万円以下の場合は、総所得金額が基礎控除額の38万円以下となるので、本人に所得税は課されず、また、扶養者の所得税額の計算上、配偶者控除又は扶養控除の対象となる。

なお、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1000万円超の場合は、配偶者控除は受けられない。