税理士法人吉井財務研究所

会社法が一部改正されます

会社法が一部改正します!

会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第 70 号)が、

令和元年 12 月4日に成立し、同月 11 日に公布されました。

 

社法の一部を改正する法律の概要(法務省民事局)

令和3年3月1日施行予定

1.取締役等に関する規律の見直し

・取締役の報酬に関する規律の見直し

①上場会社等の取締役会は、定款の定めや株主総会の決議により取締 役の個人別の報酬等の内容が具体的に定められない場合には、その内容についての決定方針を定めなければならないこととしています。

②取締役の報酬等として当該株式会社の株式又は新株予約権を付与し ようとする場合には、定款又は株主総会の決議により、当該株式又は新株予約権の数の上限等を定めなければならないこととしています。

③上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととしています。

 

・会社補償及び役員等のために締結される保険契約に関する規律の整備

① 会社補償

会社補償(役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反し たことが疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことに対処するために支出する費用や、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合における損失の全部又は一部を、株式会社が当該役員等に対して補 償すること)が適 切に運用されるように、補償契約を 締結するための手 続や補償をすることができる範囲等 を明確にするなど、会社補償に関 する規定を新たに 設けることとしています。

②役員等のために締結される保険契約

いわゆる会社役員賠償責任保険(D&O保険)が適切に運用されるように、 契約の締結に必要な手続等を明確にするなど、 役員等のために締結される保険契約に関する規定を新 たに設けることとしています。

・社外取締役の活用等

①業務執行の社外取締役への委託

マネジメント・バイアウトの場面や親子会社間の取引の場面など、 株式会社と取締役との利益が相反する状況にあるとき、その他取締役 が当該株式会社の業務を執行することにより株主の利益を損なうおそ れがあるときは、当該株式会社は、その都度、取締役会の決議によって、 当該株式会社の業務を執行することを社外取締役に委託することがで きることとし、委託された業務の執行をしても社外取締役の資格を失 わないこととしています。

② 社外取締役を置くことの義務付け

我が国の資本市場が信頼される環境を整備し、上場会社等については、社外取締役による監督が保証されているというメッセージを内外に発信するため、上場会社等は社外取締役を置かなければならないこととしています。

2.社債の管理に関する規律の見直し

・社債の管理に関する規律の見直し

①社債管理補助者制度の創設

会社が、社債を発行する場合において、社債管理者を定めることを 要しないときは、社債管理者よりも権限及び裁量が限定された社債管理 補助者を定め、社債権者による社債の管理を補助することを委託するこ とができる社債管理補助者制度を新たに設けることとしています。

②社債権者集会

社債権者集会の決議により、社債に係る債務の全部又は一部の免除をすることができることを明確化することとしています。また、社債権者集会の目的である事項について提案がされた場合に おいて、当該提案につき議決権者の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の社債権者集会の決議があったものとみなすこととし、かつ、その場合には、社債権者集会の決議についての裁判所の認可を受けることを要しないこととしています。

・株式交付制度の創設

他の株式会社を買収しようとする株式会社(買収会社)がその株式を 対価とする手法により円滑に当該他の株式会社(被買収会社)を子会社 とすることができるように、買収会社が被買収会社をその子会社とする ために被買収会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株 式の対価として買収会社の株式を交付することができる株式交付制度を 新たに設けることとしています。

3.会社の支店所在地における登記の廃止

4.取締役の欠格事由の変更

成年被後見人等についての取締役等の欠格条項を削除し、成年被後見人等であっても、取締役等に就任することができることとした上で、 成年被後見人等の取締役等への就任及び成年被後見人等がした取締役等の資格に基づく行為の効力に関する規律の整備を行うこととしてい ます。

5.取締役の責任追及の訴えにおける和解

株式会社が、当該株式会社の取締役等の責任を追及する訴えに係る 訴訟における和解をするには、監査役設置会社にあっては各監査役、 監査等委員会設置会社にあっては各監査等委員、指名委員会等設置会社にあっては各監査委員の同意を得なければならないこととしています。

6.株主の議決権行使書面等の閲覧請求拒絶時通

株主が議決権行使書面等の閲覧等の請求をする場合においては、当 該請求の理由を明らかにしてしなければならないこととし、また、株式会社が、当該請求を拒むことができる場合について、一定の拒絶事由を明文化することとしています。

7.新株予約権における添付書類

新株予約権に関する登記事項についての規律を改め、募集新株予約 権について募集事項として募集新株予約権の払込金額の算定方法を定 めた場合であっても、原則的には、募集新株予約権の払込金額を登記すれば足りることとし、例外的に、登記の申請の時までに募集新株予約権の払込金額が確定していないときは、当該算定方法を登記しなければならないこととしています。

令和4年施行予定

1.株主総会に関する規律の見直し

法務省HPより

・株主総会資料の電子提供制度の創設

株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主 に対し、当該ウェブサイトのアドレス等を書面により通知することに よって、株主総会資料を提供することができる制度(株主総会資料の電 子提供制度)を新たに設けることとしています。

株主総会資料の電子提供制度において、株主総会資料のウェブサイト への掲載を開始する日については、株主総会の日の3週間前の日又は招 集の通知を発した日のいずれか早い日とすることとしています。

この制度の創設により、株式会社は、印刷や郵送のために要する時間 や費用を削減することができるようになり、印刷や郵送が不要となることに伴い、株主に対し、従来よりも早期に充実した内容の株主総会資料 を提供することができるようになることなどが期待されます。

他方で、インターネットを利用することが困難である株主の利益に配慮し、株主は、株式会社に対し、株主総会資料に記載すべき事項を記載した書面の交付を請求することができることとしています。

 

・株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置として、株主が同一の株主総会において提出することができる議案の数を 10 までとする上限を新たに設けることとしています。