相談事例集-法人税

法人から個人事業へ移行する場合の注意点について(岡山の税理士事例)

2014年10月28日

1.概要
現在法人企業の赤字は全法人の3分の2ほどに達するといわれています。このような状況で、法人成りのメリットが十分享受することができず法人形態をやめ、従来の会社の事業を個人として存続していく、いわゆる、『個人成り』に関心が集まっています。
個人成りする方法としては、会社を消滅させてしまう『解散・精算』、会社の活動を停止させてしまう『休眠』の二通りがあります。解散は登記を要しますので費用がかかりますが、会社を完全に消滅することが出来ます。それに対して休眠はほとんど費用がかかりませんが、休眠後もそれなりのメンテナンス(決算申告と登記など)を要します。

2.会社所有の事業用資産を個人へ譲渡する際のポイント
?法人税・所得税の取扱い
会社が所有する事業用資産を引き続き個人事業で使用する場合、事業用資産を個人に譲渡する必要があります。この場合、事業用資産が不動産等または棚卸資産であれば、譲渡価額は時価となり譲渡価額が時価を下回る低額譲渡の場合は、その差額について譲受人においては役員賞与や役員退職金として、譲渡した法人については給与や寄附金等として課税される恐れがあります。また、時価を上回る価額で譲渡すれば、寄附金等とされ、やはり課税の問題が生じることになります。これら以外の機械装置・車輌運搬具・器具工具備品等についても時価で譲渡することになりますが、再調整価額ないし帳簿価額で譲渡する場合については特段の事情がなければ否認されることは考えられません。
?消費税の取扱い
会社の事業用資産を対価を得て個人事業に移行すれば、資産の譲渡等として課税取引に該当する為、消費税が課税されます。
会社役員であった者に対して会社の資産を無償で譲渡した場合、みなし譲渡に該当し時価で資産の譲渡等があったものとして消費税が課されますが、棚卸資産については、仕入金額又は販売価額の50%相当額のいずれか大きい方の金額をみなし譲渡として課税されます。低額譲渡した場合には、譲渡資産の譲渡時の時価を基準として課税されます。
以上の取扱いは、会社役員を対象としていますが、会社の従業員に対してはみなし譲渡は適用されません。
?借地権がある場合
個人所有の土地に会社所有の建物がある場合、通常は借地権が発生していることが多いです。借地権の取扱いについて、会社が借地権の無償返還の届出書の提出の有無により課税関係が異なり、無償返還届出書の提出があれば、会社と個人の双方はともに課税の問題は生じません。無償返還届出書が提出されていない場合は、借地権の返還について法人から個人に対して無償で行われたとすると、会社側では借地権の譲渡について譲渡益が課税され、個人は会社から無償で借地権の返還を受けたことにより、一時所得又は給与として課税されます

3.最後に
『個人成り』に関しては上記で述べた以外にも代表者等に対する貸付金・借入金、退職金の支給時期等税務上の注意点がありますが、それ以外に、取引先や従業員との関係も考慮して検討さることが望ましいと思われます。

(岡山の税理士事例)

←相談事例集はこちら
←HOMEに戻る